AGAと円形脱毛症は、その症状の現れ方、つまり「どのように髪が抜けていくか」という点において、非常に対照的な特徴を持っています。この見た目の違いは、どちらの脱毛症であるかを見分けるための、最も分かりやすい手がかりとなります。まず、「AGA(男性型脱毛症)」の進行は、非常に「ゆっくり」で「予測可能」なパターンを辿ります。数ヶ月や数年という長い時間をかけて、じわじわと薄毛が進行していくのが特徴です。多くの場合、額の生え際の両サイドが後退していく「M字型」か、頭のてっぺん、いわゆる頭頂部から円形に薄くなっていく「O字型」、あるいはその両方が同時に進行する複合型といった、特定の部位から薄くなっていきます。抜ける髪も、ある日突然ごっそりと抜けるのではなく、一本一本が徐々に細く、短くなり(軟毛化)、全体のボリュームが失われていくように感じられます。通常、強いかゆみや炎症といった自覚症状は伴いません。一方、「円形脱毛症」の最大の特徴は、その「突然性」と「局所性」です。多くの場合、何の予兆もなく、ある日突然、コインのような円形または楕円形の「脱毛斑」が現れます。脱毛斑の大きさは、10円玉程度のものから、頭部全体に広がるものまで様々で、一つだけでなく複数個できることもあります。その部分の髪は、まるでカミソリで剃ったかのように、境界がはっきりとして、きれいに抜け落ちてしまうのが特徴です。AGAのように髪が細くなるプロセスを経ず、健康な髪がまとまって抜けるため、本人や周囲の人が気づきやすいです。また、脱毛斑の周辺の毛を軽く引っ張ると、簡単に抜けてしまうことがあり、活動性の指標とされます。爪に点状のへこみや横筋が現れるといった、髪以外の症状を伴うこともあります。このように、AGAが「森の木が少しずつ枯れていく」ようなイメージだとすれば、円形脱毛症は「森の一部が突然、綺麗に伐採される」ようなイメージです。この見た目の違いを正しく認識することが、早期の適切な対応への第一歩となります。
症状の違いゆっくり進行するAGA突然現れる円形脱毛症