個人輸入で流通しているAGA治療薬の中には、本物の製薬会社が製造した正規の医薬品も、確かに存在するかもしれません。しかし、それと全く見分けがつかないほど精巧に作られた偽造品が、数多く紛れ込んでいるのもまた事実です。私たち消費者が、手元にある薬が本物か偽物かを、見た目だけで100%確実に見分けることは、極めて困難です。しかし、いくつかの注意点を知っておくことで、偽造品のリスクをある程度推測することは可能です。まず、最も分かりやすいのが「パッケージ」と「錠剤の刻印」です。正規の医薬品には、通常、PTPシート(錠剤が入っているアルミのシート)や箱に、製造番号や使用期限が明確に印字されています。この印字が不鮮明であったり、インクが滲んでいたり、あるいはそもそも存在しなかったりする場合は、偽造品の可能性が高いです。また、錠剤そのものにも、製薬会社のロゴや、成分量を示す数字などが刻印されていることがほとんどです。この刻印がなかったり、潰れていて読めなかったりする場合も、注意が必要です。しかし、近年の偽造技術は非常に高度化しており、パッケージも刻印も、本物と見分けがつかないほど精巧に作られているケースが増えています。そのため、見た目だけでの判断には限界があります。では、どうすれば確実に本物の薬を手に入れることができるのでしょうか。その唯一の方法は、「信頼できるルートから入手する」ことです。日本国内においては、それは「医師の処方箋に基づき、薬剤師が調剤した薬」を意味します。クリニックで処方される薬は、製薬会社から正規の卸売業者を通じて納入された、品質と安全性が100%保証されたものです。その流通過程は、国の厳格な管理下にあります。AGA治療は、あなたの体を預ける医療行為です。その入り口となる薬の選択において、少しでも「本物だろうか?」という疑念が生じる個人輸入というルートを選ぶのか、それとも、絶対的な安心と安全が保証された、クリニックでの処方というルートを選ぶのか。その選択が、あなたの治療の成否、そして健康そのものを左右するのです。